「ガソリン添加剤」ってナニ?基礎の基礎


 今、このウェブサイトを閲覧している人は間違いなく「ガソリン添加剤」に興味を持っているはず。すでに心に決めている製品があり、あくまで参考用としてココへのぞき見しにきたドライバーやライダーもいれば、そもそも「ガソリン添加剤ってどんなもの?」と勉強がてら訪れた、免許未取得のボーイズ&ガールズまでいることだろう。 アナタは運がいい! これから超がつく初心者の方にも分かっていただけるよう「ガソリン添加剤」について解説をしていく。

 でもちょっとだけ待ってほしい。「ガソリン添加剤」は何に注入するもの? ……そう、「ガソリン」だ。じゃあそもそも「ガソリン」とは何なのか。説明できますか? サービスステーションでアナタ自身も注入したことがあるかもしれないツンと鼻につく刺激臭を持つ取り扱い注意の液体。その正体とは……???

そもそも…ガソリンってナニ?

 ご存じ、インターネットフリー百科事典“ウィキペディア”によると、

ガソリン

ガソリン(アメリカ英語でgasoline、イギリス英語ならpetrol。漢字で書くと瓦斯倫)とは多くの場合、地中深くから採掘された原油を精製して作られるものの一種で、沸点が摂氏30℃から220℃の範囲にある石油製品(および中間製品)の総称。この名称は「gas(ガス)」とアルコールやフェノール類の接尾辞である ol と不飽和炭化水素の接尾辞である ine に由来する。

Wikipedia-ガソリン―

 代表的な液体燃料であり、アメリカ合衆国では「ガス」と呼ぶことが多く、日本で自動車の燃料切れを意味する“ガス欠”はこれに由来する。常温で揮発性が高いため、日本の法令などでは揮発油(きはつゆ)と呼ばれる場合もある。

 主成分は炭素と水素が結びついた炭素数4-10の炭化水素の混合物で。密度は一般に783kg/m3。同じ1立方メートル(m3)の水が1トン(1000kg)だから水よりは相当に軽い液体で、大まかに水を1とすると0.8の比重だと考えることができる。本来は無色透明な液体ながら、日本ではJIS(日本産業規格)の定めによりオレンジ色へ着色されているのだ。

 ちなみにキャンプなどでランタンやポータブルストーブの燃料として用いられる“ホワイトガソリン”は、ほぼ純粋な石油成分のみで構成されており、オクタン価〈後述〉向上剤ほかの添加剤が混入されていないため、ススの発生が少ないという特長を持つ(オクタン価は50~55程度)。そちらを白ガス、一般的なガソリンを赤ガスと呼ぶこともまだ多い。

 話を再びガソリンに戻して……。ご存じのとおり日本のガソリンスタンドでは、“レギュラー”ガソリンと、“ハイオク(プレミアム)”ガソリンの2種類が販売されている。

 プレミアム(高級な・上等な)なんて言葉が別名に付いているくらいだから、レギュラーガソリンと比べてハイオクガソリンは、より元気によく燃える……と思われがちだが、実際には「燃えにくい」ほうがハイオクガソリンなのだ。

 レギュラーとハイオクの違いを決定づけるのは、先ほどホワイトガソリンのくだりでも出てきた“オクタン価”の数値。日本産業規格(JIS)ではオクタン価が89以上のものをレギュラー、同価が96以上のものをハイオクと定めている。では、そのオクタン価とは、いったい全体ナンジャラホイ?

 とても大ざっぱに言ってしまえば「エンジン内の異常燃焼のひとつである“ノッキング現象”の起こしにくさを示す指標」のこと。ノッキング(knocking)とは、扉をコツコツと叩くことを意味し、自動車分野ではレシプロエンジンが「キンキン」「カラカラ」など金属性の打撃音および打撃的な振動を生じる現象全般を指し、機関を壊す要因にも……。

 アナタが乗っている、もしくは興味を持っているクルマかバイクに搭載中のガソリンエンジンは“内燃機関”といって、シリンダーという筒の中でガソリンと空気とを混ぜた混合気を押しつぶした(圧縮)あと爆発的に燃焼させ、そのとき発生した燃焼ガスがシリンダー内にあるピストンを押し下げる力を回転力に変換することでパワーを得ている。

下画像は、一般的な直列4気筒DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)16バルブエンジンの内部可動部分を抽出したCG

「空気てっぽう」の例を挙げるまでもなく、気体はギュギュギュ~ッと容積を小さく圧縮すればするほど反発する力は大きくなる。

 エンジンもしかりでパワーを絞り出すためにはなるべく圧縮比を高めたい。ところがオクタン価が低い=燃えやすいガソリンの混合気だと、スパークプラグによる点火を待たずに自己着火して燃焼がスタートしてしまうことも……。

 これは吸入→圧縮→燃焼→排気という行程をキッチリと行いたいエンジンのピストンやシリンダーにとっては『聞いてないよ~』という異常事態。ハンマーで金属を叩いたような「キンキン」や「カラカラ」という異音(ノッキング)はエンジンの悲鳴とも言える。当然、そのような状況が長く続いてしまえば、内部の機構が破損する可能性まで出てくる。

 オクタン価の高い、つまり燃えにくく異常燃焼を起こしにくいハイオクガソリンならば、ハイパワーを得るための高圧縮にも耐えて耐えて耐えて耐えて……プラグが飛ばした火花によってで初めて“ドカン!”と燃焼し、理想的な位置で待ち受けていたピストンを想定どおりに押し下げることが可能。ゆえにクルマやバイクのメーカーは高性能車を中心に“ハイオクガソリン指定”を行っているのだ。

 なお、進化したコンピュータ制御を持つ最新のモデルでは、ハイオク指定車にレギュラーガソリンを1回間違えて入れたからといって機関が壊れることはない。ただし、点火時期をずらすなどの対応が実施されるため出力や燃費が落ち、そのハイオク指定モデルが持つ本来の性能は発揮できなくなる。また、総じて2000年以前の古いクルマやバイク(チューニングしたキャブレター車は特に!)だと、本当に壊れる可能性もあると言われているので注意が必要だ。

 逆にレギュラー指定車へハイオクガソリンを入れた場合、デメリットは特になく逆にハイオクに入っているエンジンをキレイに保つ洗浄剤の利点を享受できるとされている。

 そう、レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いはオクタン価の差、ということは前述したが、その違いを生み出すためハイオクには改質したガソリンやオクタン価向上剤が加えられていることが多く、その影響も払拭するためデポジット(燃え残り)を付きにくくする洗浄剤までが添加されている。オクタン価はもちろん、そのノウハウや加えられるケミカル量の多寡により、1リットルあたり約10円ほどの販売価格の違いが生まれている、というわけだ。

 ……ガソリンについて、多少でも理解が進む一助になっただろうか。それでは、いよいよそんな液体に追加することで“走りが変わる”「ガソリン添加剤」の話をしていこう。

ガソリン添加剤ってナニ?

 さて、すでに複数のブランドから数多く発売されている「ガソリン添加剤」。

 燃料タンクへ注入するだけで、『走りが変わる!』『サーキットでタイム向上!』『好燃費へ寄与!』といった勢いのあるアオリ文句が用品店の陳列棚POPやウェブサイトに並び、興味を持ったからこそアナタもこのサイトを眺めていることだろう。

「そもそもガソリンが値上がりして苦しいのに、さらに数千円を投資してその分を確実に回収できるものなのか……?」。大切な愛車に入れるものなのだから、その詳しい内容はちゃんと知っておいて損はない、というか理解した上で是非使っていっていただきたい。

 ではズバリ、「ガソリン添加剤」とは何なのか?

 非常にざっくり簡単に言ってしまえば、エンジン内部の燃焼室の汚れを落として本来の性能を取り戻させるアイテム……ということ。給油時に燃料タンクへガソリンとともに注入するだけで、配合された洗浄成分や潤滑成分などが、混合気の吸気ルートや燃焼室内、エンジン内にある一部の摺動部にまで作用するというものだ。

「えっ? エンジンの内部って汚れるものなの?」と、お考えになる人もいるだろう。

 例えば……ロウソクを点火したときのことを思い出してほしい。環境のいい状態でちゃんと燃えているとき、炎の上で立ち上っているのはゆらゆらとした熱気だけ。だが、風が吹くなどして燃焼が不完全になったとたん、ハッキリと目に見えるほどの黒いススが大量に発生する。

 前項で説明したとおり、ガソリンの主成分は主に炭素と水素から組成された化合物である炭化水素(ロウソクのろうも同じ)。こちらと大気中の酸素とを混ぜて燃焼させることで、大きなパワーを生み出すことができるわけだ。昔はキャブレターが、今は高度に電子制御化されたフューエルインジェクション(燃料噴射装置)が、クルマやバイクのエンジン燃焼室へ霧状にした燃料……つまり、混合気を送り出している。

 このときガソリン1gを14.7gの空気で燃やすことができれば混合気中の酸素と燃料とを完全燃焼させられるので、スス……つまりは炭素(カーボン)が理論上発生しないことになる。いうなれば安定して燃えているロウソクの状態。

 しかーし、ベストな状態ばかりではないのが人生とエンジン燃焼室の内部。始動時やアイドリング、加速のためのパワーが欲しいときなどなど数多くのシチュエーションで、ほぼ完全燃焼するガソリン1:空気14.7の混合気ではなく、ガソリンが濃い(“リッチ”と呼ぶ)状態……比率にして同1:12.5あたりの混合気が多用されているのが現実だ。

 そうなってくると混合気が爆発的な燃焼で容積を拡大し、待ち構えるピストンをものすごい力と速度で押し下げた後の燃焼室内には、燃え残ったガソリンの残りカス(カーボン)が微量ながら存在していることになる。

 もちろん大多数は再び上昇してくるピストンの力によって排気バルブの開いた透き間から燃焼室内より押し出されていってしまうものの、チリも積もればなんとやら。少しずつ少ーしずつ堆積していって、ピストンやバルブの周辺が真っ黒になってしまうのだ。

頭頂部がカーボンなどのデポジット(堆積物)によって真っ黒に汚れたピストン。こうなると燃焼室の内部も推して知るべしで、それらが炭火のように着火源や熱源となりノッキングを引き起こす

 なお、ここではカーボンの発生について話を絞らせてもらったが、混合気のベースとなる大気は窒素(N2)が実に約78%を占めており、酸素(O2)は約21%に過ぎない。

 酸素と炭素が燃えてエネルギーを発生すると、その高温で窒素と酸素が結びついてしまい人の体に悪影響を与える窒素酸化物(NOx)が発生し、それが粒子状物質(PM=Particulate matter……朝のニュース番組などでも濃度を報告している、あの「PM2.5」の“ピーエム”だ)のベースとなってしまうため厄介。さらには同じく人体に有害な一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)も生み出されてしまう。それら3つの有害排出ガスを無害な二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)そして水(H2O)に変えてしまう魔法のような装置が、アナタのクルマや今どきのバイクなら必ず搭載されている「三元触媒」……なのだが、こちらの詳細については割愛させていただくことにする。

 さて、「ピストンやバルブまわりなどの汚れを除去することが、どうしてエンジンの性能向上につながるの?」と至極真っ当な疑問を持つ人もいるはずだ。

 ではここで、アナタの思いどおりに必要なだけのパワーを気持ちよく発生してくれるクルマとバイクの心臓、エンジンの構造について、例え話も入れ込みながら解説をしておこう。

 今どきのナウなヤング(死語)なら、まさしくこのページを探し当てた“検索エンジン”や“ゲームエンジン”など、ネットやゲームの世界におけるエンジンのほうが、なじみ深いのかもしれない。だが、当然ながら「ガソリン添加剤」が効力を発揮するのは、コンピュータを使用して、さまざまな情報処理を実行する機構……ではなく、動力を発生させる機関である原動機のほうだ。

 といっても、これまたジェットエンジンやロケットエンジン、ガスタービンエンジンなど多くの種類があるのだけれど、ここではガソリンエンジン、かつ現在の主流をひた走る4サイクル機関。正確には〈4ストローク/1サイクルエンジン〉に話を絞らせていだだこう。

 これまたナウなヤング(しつこい)にはピンとこないかもしれないが、竹を切って作る水鉄砲を頭に思い描いてみてほしい。太さの違う2種類の竹を用意し、細い竹に布を巻いて太い竹の内径と同じくらいになるようにする。太い竹の反対側、残した節にはキリで細い穴を開ければできあがり。バケツに張った水を注射器の要領で小さな穴から吸い上げ、ねらいを定めて細い竹をグイッと押せば,小さな穴から勢いよく水がほとばしる……。

 逃げまどう友だちをびしょぬれにした、その竹の水鉄砲。

 水を入れていた太い竹筒の内部がエンジンにおける“シリンダー”。その内側の径とほぼ同等の太さに巻いた布の部分が“ピストン”だ。

 今度はバケツの水にではなく、空に向けて細い竹を下へ引いてみよう。さっき水を噴射させた小さい穴からヒュルヒュルと空気が吸い込まれていくことだろう。さらに下へ引っ張ると「スポン!」と“ピストン”が抜けてしまうので、適当なところでやめておいてグッと天井へブチ当たるまで上へと押し込める。と“シリンダー”の内部に溜まっていた空気がビュッ!と勢いよく細い穴から吹き出していくはずだ。

 再びピストンを下げる。“負圧”が発生し、穴からシリンダーへ入っていくものが空気とガソリンとを理想的な割合にした(よ~く燃える)混合気だとしよう。穴がそのままではピストンが上昇すると、せっかくの混合気が抜けてしまう。天井部分に工夫をし、ピストンが下がるときタイミングよく開いて混合気を吸い込む“吸気弁(バルブ)”を作ろう。

 筒に空けた小さな穴には混合気へ点火するスパークプラグをネジ込んで、ピストンによって圧縮された混合気へ点火! 「ドカン!」と爆発的に燃焼しピストンがものすごい力で押し下げられる。そのままではピストンが筒の下へと吹っ飛んでいってしまうので、ピストンの下に首を振るサオ“コンロッド”と自転車のペダルを回すような機構“クランク”を組み込めば上下運動を回転運動に変えることができる。そして燃焼が終わった排ガスをピストンがシリンダー内部から押し出すときにちょうど開く“排気弁(バルブ)”も付けてしまえば……4サイクルエンジンのできあがりだ(笑)。

 こちらで今一度、4つの工程を振り返っておくと……。

 吸気→圧縮→燃焼→排気。一般的なエンジンの内部ではこの4ストローク/1サイクルの行程が超高速で遂行されている。

  1. ピストンが下降して混合気がシリンダー内に吸い込まれる【吸入工程】
  2. ピストンが上昇し混合気を圧縮【圧縮行程】
  3. プラグの火花によって混合気が爆発的に膨張してピストンを押し下げる【燃焼行程】
  4. 回転運動の慣性でピストンが上へ押し上げられ、ガスをシリンダー内から追出す【排気行程】 

 とまぁ、この一連の動作(サイクル)が、ピストンの上昇と下降が2回ずつの合わせて「4回の行程」で行われる[容積型内燃機関]が、4サイクルエンジンというわけだ。1サイクルの間にピストンがシリンダー内を2往復してクランク軸は2回転しているということも理解しておいて悪いことは何ひとつない。

 シリンダーが1つなら単気筒、2つなら2気筒。2気筒以上になると、シリンダーの並べ方にも“直列”や“V型”や“水平対向”といったバリエーションが増え、それぞれに持ち味が変わってくる……というのはまた別のオハナシ。

エンジンはとっても働き者!

 さて、そのエンジン。実はもの凄いことを平然と行っている。

 メーターを眺めてみれば、ほとんどのクルマやバイクで装備されている回転計……タコメーターと言うほうが分かりやすいかな。そこで使われている単位、rpm(アールピーエム)は、英語の”revolutions per minute”の略で、1分の間での回転数である。

 仮に6000rpmだとすると、これはクランクの軸……クランクシャフトが毎分6000回転していることを示している。なんとなく「ああ、そうなんだ」と流してしまいそうになるけれど、1秒間で100回転していると考えると少々驚く。吸入→圧縮→燃焼→排気という理詰めで面倒くさい(?)動作が1秒間に50回もキッチリ行われている……のだ。

 バイクの世界では最高出力を15000rpm付近で絞り出す250㏄4気筒モデルもある。仮に15000rpmまでブン回したとして1秒間にクランクシャフトは250回転。4サイクル工程が125回。ちなみに4気筒だから毎秒500回、4つあるシリンダーの中でドッカンドッカン燃焼が行われている……と考えると、驚きを通り越して「ホントかいな?」の世界だ。

 まぁこれは特殊な例としても、フツーの4気筒エンジンが3000rpmで淡々と回っているときでさえ、内部では1秒間に25回の4サイクル工程(全体の燃焼回数なら100回)を実施中。ではアナタ、長年乗り続けるなかでトータルで何秒間、愛車のエンジンを動かしていますか?というハナシでもある。仮に99.999%の燃えカス(カーボン)がうまく排出されたとして、完全なゼロにするのは不可能。そこで発動するのが「チリも積もれば……」という冷徹な自然法則。長年愛用してきたエンジンには、どうしても燃え残りのススが付着していくのだ。

 あと忘れてはならないのは「ブローバイガス」の存在。

 竹筒と硬く巻いて縛った布との関係とは比べるべくもないほど、実際のエンジンには精度の高い金属製のシリンダーとピストン、そしてそのピストンの周りを2重~3重で取り囲み、オイルの助けも借りながら密閉性を高める役割を果たすピストンリングが採用されており、高い密閉度を実現している。しかしながら燃焼行程で高圧となった燃焼ガスの力は絶大で、ちょうどピストン周囲に取り残された未燃焼の混合気を巻き込みながらピストンの下……つまりクランクケース側へ吹き抜け(英語でblowby=ブローバイ)ていく気体の量は少なくない。

 放置しておくと高まった圧力でエンジンを内部から破壊しかねないブローバイガス。

 「面倒くさいな、じゃぁ捨てちゃえ」と古き良き時代はブリーザーパイプを通じて大気へ放出されていたものの、実際のところ燃えカスであるススや人体に有害な物質、燃え切ってない未燃焼のガソリン、ピストンとシリンダーの間を吹き抜けていくとき取り込んだオイル分などが渾然一体となった、非常にヤバイ成分テンコ盛りの毒ガス……。

 こちらが太陽からの紫外線を受けることで「光化学スモッグ」の原因となることも1970年初頭から問題になり、今ではクランクケースを密閉式として内部に溜まるブローバイガスを吸気管へと環流させ、新しい吸気と混ぜて再びシリンダ-の中へ送り込み燃やす……という構造を採ることが、公道を走る全てのガソリンエンジンに法制化されている。

 地球環境のためとはいえ、オイルなどの不純物が非常に微量ながら混ざった未燃焼ガスが吸気に混ぜられている関係上、どうしても以降の吸気管や混合気を生成する部分(インジェクターやキャブレター)の周囲、スロットルバルブ、そして吸気バルブほかに「チリも積もれば山となる」的なスラッジ蓄積が起きてしまうのは避けられないところ。

 それらの部位は本来、汚れの付着していない滑らかな表面であることが理想的だ。考えてもみてほしい、同じ距離を移動するとき平坦な道をスイスイ駆ける場合と、デコボコだらけの障害路を乗り越えていかねばならない場合と、どちらがスムーズで無理がないだろうか。ものすごい速度で混合気がシリンダー内へと吸い込まれるとき、もちろん大部分は中空の部分を移動していくが、吸気管の内壁部分表面での抵抗はトータルだと無視できないものとなる。

 化石燃料を使用するがゆえに避けられない、混合気燃焼に関連する部分へのススやスラッジの堆積。それらを洗浄することによって、エンジンコンディションを最適な状態へ戻すことこそが、「ガソリン添加剤」の役割であると言えるのだ!

各社独自の配合でガソリン添加剤を開発

 ひとくちに「ガソリン添加剤」と言っても、多様なメーカーから数多くの製品がリリースされている。それぞれがあの手この手で効果のほどを主張しているのはご存じのとおりで、正直言って“ナニガナンダカ”状態の人も少なくないのではないだろうか。

 大まかに言ってパワーアップ効果を強く謳っている製品には“オクタン(価)”を向上させるウンヌンという文字列がよく使われている。前述したとおり、オクタン価とはガソリンのエンジン内での自己着火のしにくさ、ノッキングの起こりにくさ(耐ノック性・アンチノック性)を示す数値のこと。“燃えにくい”からこそ高圧縮(=ハイパワー)エンジンが求める理想的な燃焼を実現することができるのだ。

 オクタン価の上昇を標榜する「ガソリン添加剤」にも、そうではない製品にも必ず使われていると言っていい洗浄剤の主成分がPEA(ポリエーテルアミン)というアルカリ性の化合物である。コイツのポイントは洗浄力が非常に高いこと。

 シリンダー内で行われる燃焼作用で発生したスス(カーボン)やオイル汚れなどを洗浄力のあるアルカリ性特性を持つPEAが溶かして剥がしてキレイにしていく。取り込んだ汚れは燃焼室で再び燃やされる……という仕組みでエンジン各部が洗浄されていくのだから道理にもかなっている。1980年代に登場し、安くはない価格との兼ね合いをつけながら、いまだ最前線で重宝されているのだから実力はホンモノ。「ガソリン添加剤」のエースで四番とも言える存在だ。

 つまり「ガソリン添加剤」とは、PEAという洗浄系スーパースターを主軸にどういうメンバーを配置して特長あるチーム……つまり製品を作り上げていくかが勝負。当然ながら、配合されている内容物やその配合比率はトップシークレット中のトップシークレットだ。

シュアラスターのガソリン添加剤の性能

 他社製品のことはさておき(苦笑)ここはシュアラスターのウェブサイトなので、同社が誇るガソリン添加剤「LOOPスムースショット」と「LOOPパワーショット」について、さらに肉薄していこう。

 2018年に発売開始されて以来、給油時に燃料タンクへ入れるだけでスムーズなアクセルレスポンスを回復。加速感もよみがえると評判のガソリン添加剤。すでに効果のほどを実感した驚きの声が多数寄せられていることは、当サイトの別項にもあるとおりだ。

 このスムースショットシリーズも主成分はPEA。そこに、さらにPIBA(ポリイソブテンアミン)という洗浄成分をバランスよくダブル配合することで、より効果的に汚れを落とす設計となっている。

 このダブル洗浄成分配合により燃焼室はもちろん、吸気バルブ、そしてインジェクターの噴霧ノズル部分までしっかり汚れを落とすことができ、エンジンコンディションを最適な状態に戻していくことができるというわけだ。

 下に並べた画像は実際にループパワーショット添加前の汚れた状態をマイクロスコープで撮影し、ループ パワーショットを添加して走行後の汚れの落ち具合を再度撮影したもの。添加前は黒くススで汚れた状態だったが、走行距離を重ねるにつれ、汚れが落ちているのが分かる。

 この強力な洗浄能力は「LOOPスムースショット」「LOOPパワーショット」で共通の部分。後者にはさらに燃焼室コーティングも上乗せされ、シリンダーヘッド等の動きを滑らかにすることにとって更にエンジンのコンディションが最適化する。

 それを実現しているのは「特殊潤滑剤」の配合。ピストン上部(トップリングやシリンダーライナー)とシリンダー壁間に摩擦低減効果のある膜を張ることで潤滑性を高め、アクセルレスポンスを向上。力強い加速感はもちろん、燃費の改善も期待できる。

 繰り返しになるがガソリン添加剤の性能を決定づけるのは、配合バランスの妙。スーパースター的な成分が単独で奮闘しても効果は限定的だし、デメリットのほうが目立ってくる場合さえ出てくる。また、注入することでエンジンに不具合を生じさせては絶対にいけない、とはいえ、入れた実感をユーザーに与えなければ意味がない……。そういったギリギリの線を狙って各メーカーのガソリン添加剤開発者たちは、たゆまぬ研究を重ねている。それぞれのブランドが自信を持って世に問うガソリン添加剤は、すべてが「液体のチューニングパーツ」と言っても過言ではないのだ。

 なお、体にいい薬も用法と用量を守らなければ毒となるように、ガソリン添加剤の添加率はしっかり説明文どおりにすることを心掛けたい。自分がクルマやバイクをどのように使用しているかも考慮して選べば、バリューフォアマネーも高いものとなるだろう。

 ちなみにシュアラスターのLOOPガソリン添加剤の場合……。

「LOOPパワーショット」は、高出力車/外車ユーザーの方、普段から走行距離が多い方、休暇でロングドライブの予定がある方にオススメ。レスポンスUPやアイドリング時の振動低減、パワフルな加速感が得られる。クルマ、バイクを問わずサーキット走行前に“気合いの1本”として注入し、好結果を得ている人も多数!

「LOOPスムースショット」はストップ アンド ゴーの多い街乗り派にオススメ。アイドリング時の振動軽減・アクセルレスポンスUPが期待できる。

アナタのカー&バイクライフをさらに充実させる1本を選ぼう!!

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